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2.172025
被ばくの症状11 被ばくの実相3 うさぎとタバコ②
1)毒ガスの疑い
驚くことに、当時の被ばくについての第一人者であるとされた人が、都築正男氏です。(広島新史)
ヒロシマナガサキへの原爆攻撃のために、マンハッタン計画で、兵士に被ばくさせて実験をしたのだから、アメリカではその人体被害をしらべていると思いましたが。
戦後の被ばくの調査の話をよんでると、どうもはっきりしません。
あるいは、被害をわかってるからこそ、そういう人たちはすぐにはヒロシマナガサキに来なかったのかもしれません。
さて、もう少し、被ばくの実相について、モヤモヤしてる話を追ってみたいと思います。
「広島県史 原爆資料編」
(昭和20年9月8日 米国原子爆弾調査団案内のために広島に向かうときに記す)
総合医学第二巻第14号
「夏至爆弾症について」(特に医学の立場からの対策) 東京帝国大学教授都築正男
(被ばくの被害の形態について、彼は4分類しています。
1)光及び熱による障害作用
2)器械的威力による障害作用(建物の崩壊やガラス、火災などによる被害)
3)放射能の威力による障害作用
そして、
4 未知の威力による障害作用
爆発直後、爆心直下には白い煙様の刺戟性の悪臭ある瓦斯(ガス)がただようていて、それを吸い込むと咽頭又は喉頭を害し、時には窒息様の苦悩をおぼえへたと訴へる人が少なくない。所謂原子爆弾なるものが如何なる構造を有し、如何なる操作によって作働するものであるかが不明の今日、この問題は我等の手で解答出来ないことであるが、××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
伏字にドキッとしますね~もちろんこれはオリジナルではないです。
敗戦国日本が、言論の自由などあるわけないはないにしても、1~3の死亡者多数のかなり詳しい話はスルーで、4がそんなにダメですか?
都築氏は、外科医であり、放射能の実験もされており、そして実は毒ガスについてもとても詳しいかたでした。
そもそも戦時中は海軍に属しておられました。
というわけで、現在の私たちから見たら、マルチな才能のかたですね。英語も話されておられたと。
実は、毒ガス…がまかれたのではないか、とヒロシマの人たちは思ったそうです。当時、広島の近くに毒ガス工場があり、当時の人たちは私たちよりも毒ガスに詳しかったとも思います。毒ガス工場で働いていた人たちも毒ガスによる後遺症があり、認定を受けています。
多くの人たちの体験記にも「なんともいえないイヤ匂いだった」とおっしゃっていました。
当時の人たちは、原爆という兵器でやられた!という表現を使う記録もみかけます。そしてその白い煙についても、毒ガスをまかれた…のか?とみんな思ったほど、のどがひりひりしたり、あるいは窒息…。
実際に、毒ガスを米軍がAチーム編成して地上で、原爆が爆発してるどさくさに、まいいたりできるわけがないのです。
原爆の性質により未知のガスが生成されたという話。
(実際には不思議なことは、ありますよ。たとえば、黒い着物はすべて熱を吸収して溶けてなくなり…裸同然になってしまった人がたくさんいたのに、髪の毛は黒いのにちりちりになって残ってた謎とか)
さて、8月の29日に広島に都築氏は初めて調査にはいり、とんぼ返りで東京に帰り、アメリカ側と接触して、合同調査のメンバーに加わります。
それは、その20年前に彼が、X戦をウサギに全身照射して論文に書いており、彼はアメリカの放射線研究者と知り合いになっていた経緯を説明して、第一人者としての存在を証明したようです。
そして、日米の合同調査委員会が広島に向かう中で書かれたのは先ほどの原稿です。
しかし、そのとき、同行していたマルセル・ジュノーさんの記録をご紹介したいと思います。(ジュノー博士はのちに広島の救援活動に多大な尽力されたかたです)
2)うさぎとタバコ
「ドクタージュノーの戦い マルセルジュノー著 (頸草書房)」
(1945.9.8の会話の記録:広島視察出発前)
日本の学者が二人われわれに加わった。医師の本橋均博士と東京帝国大学の最も主要な外科医の一人、都築正男教授である。
都築教授は、きらきら光る知性的な眼をした熱血漢であった。彼は英語を話し、彼の考えはしばしば短い激烈ともいえる言葉で表現され、それに突然身振りが加わって強調された。
「広島・・・・・・ひどいもんだ・・・・・・私にはわかっていた、二十二年も前に・・・・・・」
彼は、サイクロトロンを持っている東京大学で非常に進んでいた原子核破壊の研究のことを言っているのではなく、当時ほとんど注目されなかった彼の特異な実験のことを話しているのであった。
「一九二三年、」と彼が私に言った、「私は帝大の若い医師でした。われわれは癌の治療のため、アメリカから最初のクーリッジ管 [X線を発生させる装置〕を購入したばかりでした。研究者が全員帰本宅したある夜のこと、私は突然奇妙なことを思いつきました。ウサギを一匹取り出して丸ごとX線に曝らしてみました。この新しい放射線を生体の全身に照射すれば、どのような結果を生じるか知りたかったのです。
クーリッシ管のスイッチを九時に入れました。九時半と十時には、ウサギは何の兆候も見せませんでした。十一時にも、ウサギの反応は全く正常でした。真夜中、何の変化もないので、私はうんざりしてスイッチを切りました。
私はウサギを自分の部屋に連れて行き、じゅうたんの上に置いてタバコに火をつけました。
その瞬間です、ウサギがけいれんを起こし、一・二回激しく飛んだかと思うと目の前で死んだのです。私は驚いて、 この遅効性の死を説明しよう、とあれこれ考えましたが、うまく行きませんでした。失望しましたが、実験が気にかかり、後で検査するためウサギを氷室に入れました。
次の日、このことを病院長に話すと、冷やかし半分の忠告を受けました――「都築、生きものを残酷に扱えば、地方によっては裁判沙汰になるぞ。」――言いたいことを言わせておきました。
数日後、私はウサギの検死解剖に取りかかりました。まったく驚いたことに、すべての内臓器官・腎・肺・心に出血による血液の鬱滞(うったい)がありました。
他のウサギで十匹、二十匹と追試を繰り返しましたが、結果は全く同じでした。
都築博士はカバンから資料を取り出した。それは、一九二六年デトロイトに於ける『第二十七回アメリカ放射線学会”に提出された報告書であった。G・E・ブフェラー博士がそれに興味深い解説をつけた。それは後に、ニューヨークの主要な医学専門誌に「強いレントゲン線の生物的作用に関する実験的研究」という題の下に公表された。
「実験の結果は、」と都築教授が言った、
「明日おわかりになるでしょう――広島………………負傷者十万………………死者八万。放射線の作用はほとんど同じです。ただ実験の規模が大きかった、はるかに大きかった・・・・・・」
3)タバコ学派
まるで冗談のような、この図は、半分おちょくり、で半分、人々を被ばくから守りたいと思ったときにを攻撃してくる面倒な考え方です。
先日も北海道はガンの発症が多いと新聞に出ましたが、医師のコメントは「北海道はタバコの喫煙率が高いから」
というものでした。
がんを発症した人の喫煙率や家族でタバコを吸ってる人がいないかまったく触れない…そんなコメントをひょいと載せる。
ただ、私がジュノーさんの記録をご紹介したのは、私たち一般人の目にふれる都築正男氏のうさぎの実験話は、たばこをすったら、うさぎがけいれんして死んだ…と言う部分は書かれてないからです。
弱っていたウサギちゃんに最後のダメージを与えたのはタバコの副流煙なのか?
あるいは、タバコそのものの害ですか?
あるいは関係ないですか?
都築氏は、放射線照射を受けたらどうなるかわかっていたスペシャリストであったし、そしてそれが人間に行われたときに彼の実験からいろいろ推測できた人であったことは間違いないと思います。
そして、弱ってるときに、毒物を受けることは、致命傷になりかねないのでは?
そんな話は一般人に語られていないのでは?
都築氏は
「ビタミンなどの栄養をとって、身体に負荷をかけるような労働はせず、休養を心がけなさい、力を出し切ってはダメ」という被爆者へのアドバイスをさんざん繰り返し言っておられます。
ずいぶん、早いな…と。
チェルノブイリの科学者たちが、保養にたどりつくのに、3年ぐらいはかかったのではないでしょうか?
彼はひと月もたたないで。
昭和20年の最初の視察のときから、昨日書いた、8年後の慢性原子爆弾症…のときまで。
もしも、私たちの身体が弱ってるとき、毒が入ってきたら、放射能の作用が何倍にもなるということではないでしょうか?
そうです。
タバコ…だけではなく、放射能×タバコ…というふうにタバコ学派は言うべき。
そして…慢性原子爆弾症…が、放射線の強さだけではなく、放射線が引き起こしたかもしれないなんらかの空気中の毒ガスなど「未知の作用」で引き起こされてると考えたら、どうなのだろう?
黒い雨…の問題も、空間線量などでは説明できないわけですから。
被ばくの実相…なぜこんな苦しい症状が、次から次へと出てくるのか?
まだまだ、すべてが解明されきってない。
なのに、被害が起こらないと明言することは、人としても科学としても間違っています。
その被害にあってしまった人、その悲劇をいくばくかでも軽くできるのは、国民しかないと私は思います。
裁判でいじめたりする国は、勘違いしていませんか?
被害を与えたのは政治の間違いのせいなのだから。
調査対象だったり、官僚による認定裁判で足蹴にされたり、被爆者は、しなくていい苦労をしょって生きてこられました。
人類初の核攻撃をうけて生き抜いてきた同胞たち、生き地獄さまよってこられた人たちに国は責任取って、医療費や生活費を四の五の言わず、ちゃんと出せ!
という応援が足りなかったように思います。
そんなわけで、
私たちが、ここ14年も、ウサギにされてます。ウサギは実験の対象になってることすら、知らないのです。
タバコ吸ってる人はやめようね。