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チェルノブイリ35周年・ベラルーシ科学アカデミーナショナルリポート1

ベラルーシ科学アカデミー・ナショナルレポート 1996年(英語版)無断転載禁止(著作権問題)

第一章 チェルノブイリ原発大災害による放射線の環境への影響

本日は、チェルノブイリ原発事故が起こってから35周年が経過しました。

英文の中に出てくる地名は、この表紙に、だいたい位置関係網羅されております。Mogillevは汚染地域じゃないようになってますが、クリーンとも言えないとは思います。

図表はP11に出てくるものと同じです。緑字の1キュリーというのはだいたい569Bq/kg(目安 5㎝で1kgの土をとったとき。もし10㎝の深さで1kgとって、569Bq/kgならだいたい2キュリーになる。キュリーは汚染の密度もみるものです)

ベラルーシの放射線影響研究所がチェルノブイリ事故から10年目のときに出した、災害の被害のレポートです。

この研究所の研究範囲は多岐にわたります。放射能の専門以外に、経済、土壌、生物、医療など、複合した専門家が事故の被害を調査してまとめたものです。今35年たっていますが、事故から10年後の現在進行形中の研究です。

フクシマ原発事故から10年を迎える日本にとって、参考になることも多いかと思います。

 

なお、この英語版の図表などの無断転載はできません。

第一章 チェルノブイリ原発大災害による放射能の環境への影響

1-1 放射能汚染の形成

1-2 ベラルーシ共和国における放射性ヨウ素の汚染

1-3 土壌の放射能汚染

1-4 大気層の状態

1-5 水系(1-5-1 河川流域 1-5-2 地下水)

1-6 森林そのほかの植物相における放射能汚染

1-7 動物相

(7章まであります)

概略

「1986年4月26日から5月10日おける雨をもった気象条件、とくに4月末から5月はじめの放射能に汚染された気団の動きは、ベラルーシの放射能汚染の規模を決定的なものにした。放射性物質の三分の2が、この地域に落下したのである。

放射能の放出はこの地域の居住地、水域に甚大な汚染をもたらした。ベラルーシにおいてセシウム137による汚染が3.7万Bq/㎡以上に達した地域は共和国全体お23%に及んだ。これを他国と比較するとウクライナは5%、ロシアは0.6%である(図1.1)ロシアおよびウクライナと比較して、ベラルーシが、チェルノブイリ大災害によって、より複雑かつ深刻な影響を被っていることがわかる。……災害後における重要な作用はベラルーシの放射能汚染状況の調査と特別な放射能監視体制を組織することである。1986(事故年)年には、まず共和国の居住地、農地と森林において放射能調査が行われた。放射能汚染状況の最初の統計地図は1986年6月にすでに作成されていた。

次の段階では、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム同意元素の地球含有量の統計地図が3年ごとに発表された。それをうけて個人の農場の調査が行われた。そしてすべての農場主に放射線証明書が与えられた。

ベラルーシ共和国の「チェルノブイリ原発台催芽による放射能汚染の影響をこうむった栃尾法律上の取り扱いに関する」法の第40条に従い、共和国全体の放射能状況の調査(放射能監視体制)が非常事態・チェルノブイリ原発大災害影響下の住民保護省気象学委員会によって、組織的に実行されている。(図1.2参照)

………放射性核種は土壌から水、空気中に浸透し、生物の循環システム中に取り込まれ、住民は外部・内部から多様な経路で被曝する。この進行過程には、さまざまな要素が影響するが、まず第一に、垂直方向への進行速度があげられる。また、そのほかの要素として、土壌の鉱物、有機成分の特徴、地形的・地質科学的特性、放射能歌手の物理化学的な状態などを考慮すべきである。

………以下の3点が、我々の注意を喚起した。第一点は0~5㎝の土壌層で長い期間セシウム137が残留し、さらに深い層にストロンチウム90が浸透してること。第二点は、原発からの距離の増加に比例して、すべての放射性核種の地下浸透の深さが増していること。

第3点はプルトニウム341~発生するアメリシウム341の浸透力がププルトニウムより高いことである。

この放射性核種の浸透規則性は重要である。なによりも、放射性核種が土壌層で残留しそれが食物連鎖にとりこまえる恐れがあるからである。

………放射能に起因する数々の変化が、植物相と動物相の、とりわけ細胞・器官レベルで確認され、固体数・生態系レベルでも多少確認されてる。生物界、動物における一連の現象は、経済活動や自然環境の利用と関係してる。負の遺伝的要素の蓄積、生体機能や新陳代謝における変化は、植物界・動物界の変化につながるかもしれない。このことについては、放射能状況の変動、放射性核種の土壌、水、空気における動向、放射性核種の食物連鎖への移入、植物や動物の器官への蓄積、生物への影響と言った問題のさらなる研究を必要とする(立ち入り禁止区域の生物たちの遺伝子の変化の蓄積や吸血虫などの増加による疫病の増加などの可能性も指摘)。

以上、概略を紹介させていただきました。

なぜ、この紹介を今、するのかというと。

一つは、独裁政権下で、紹介をためらっていたこと。関係者も亡くなった方も多く、また独裁への抗議も起こってるので、そろそろ、ご紹介させていただけるのでは、と思いました。

二つ目は、そもそも、1996年にこのリポートを出したのは、現地に入らないで、国際原子力機関が1996年のチェルノブイリ10周年の報告を出す準備を始めていて、彼らの前に先に出す…という計画だったと聞き及んでいます。

三つめに、紹介すると約束したけれど、独裁化のしばきがきつくなって、紹介できなくなったけれど、約束は守りたいから。

(自分も被曝してるからいつ何があるかわからない)

現場にこないで、安全とか、大丈夫とか、小児甲状腺がんは放射能のせいじゃないとか、移住しない方がいいなどなど言える人たちって、ちょっとおかしな集団ですよね。

今更、国際原子力機関(ムラ)の科学者の悪口を言っても…こちらの口がまがるだけですが。

しかし、チェルノブイリ原発事故の大災害から10年です。

そう、ヒロシマナガサキの原爆投下から10年の日本のあの現場で、何か確定的なことが言えたのか?

あとからあとから、いろんな被害が加えられ、書き換えられていったことを思えば、「原発事故から10年…」というのはまだ途中のことだったと思ってください。

むしろ、彼らは被曝の大災害からどのように道を切り開いていったのか…。

チェルノブイリでは、がんは増えてないとか…わかったふうなことを言う日本の原子力村の方々。

それは、厳しい移住基準のおかげで、安全なところで遺伝し修復できたからと考えたことはないの?と言いたいですね。

フクシマとチェルノブイリの大きな違いは、チェルノブイリは土壌線量と内部被曝によって、被ばく線量を決めていく。

という考え方です。(フクシマは空間線量だけなのでごまかしがききます)

これは、ヒロシマナガサキの入市被ばく(直撃は受けてないけれど救援活動に入ったり、親戚や知人を探しに爆心地に入った方々)や黒い雨や放射線微粒子を吸い込んだ方々の被ばくの型にとってもよく似ています。

(高線量の被曝で焼かれた…系は、チェルノブイリ事故直後、燃えさかる燃料の上にいた消防士さんたち…なんでしょう)

「被ばく線量」確かに高い低いで、違いはあろうかと思いますが、「低いから被曝の影響を考えなくて良い」というアドバイザーからは走って逃げろ、と進言させていただきます。

これだけの、調査研究に携わった方々が鬼籍に入ってますので、説明を直接きけないもどかしさが残ります。

日本がどんなレベルの汚染地帯にでも人を住まわせてると聞いたら…なんというだろうか…。

日本語に翻訳していただいたボランティアのみなさまに心より御礼申し上げます。

 

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