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被ばくの症状 5 異常なだるさ、疲労感

 チェルノブイリの子どもたちの症状は、子どもなのに、まるで更年期の女性、あるいはおじいさんのような症状を持っていました。
いわゆる全身症状で、それは核攻撃を受けたヒロシマの方々の20年後の全身の病気ととてもよく似ています。

 チェルノブイリの汚染地に里親訪問し、現地のリポートをすることを3年ほど続けたときに、自分の身体にも異常が起こりました。それを被ばくの症状だと思っていたか…というと、怖くて考えたくなかったというところでしょうか?
 背中に石板でも乗ってるかのような重たい感じ。腰がまがったおばあさんのようして、家の中を歩く。
夜中には、背中のちょうど腎臓の少し上あたりのところが、痛くて息もできなくなる。
それで、ペットボトルのキャップをそこにはり、横になります。ちょうど押される感じで、少し楽になるのです。
あるいは、子どもに背中をさすってもらう。とにかく、苦しい。
 それが、今から思えば、ヒロシマで被ばくされた肥田舜太郎先生がおっしゃっていた、原爆ぶらぶら病の軽症のようなものなのかとも思います。
肥田先生のところに診療に訪れた重症の人は、椅子に座り続けることができなくて、床に横になってしまった、というお話を聞いたことがあります。
しかし、まあ、血液検査してもさして異常がない、というのは本当なのです。
西洋医学でとらえきれない異変ですよね。

保養にやってきたチェルノブイリの子どもたちも、さっきまで元気だったのに急に遊びをやめて寝転がったり、機嫌が悪くなった、どういう性格なのか?という問い合わせもたくさんあり、集中力がない、こらえしょうがないと、評されることもあったのです。
彼らの抱えてる症状は、「チェルノブイリ・エイズ」いつ発症してもおかしくないので病気の発症の予防の保養だと。

そのとき、わからなかったパズルのワンピースが、ひとつずつ、増えてくることもあります。

たとえば、1991年12月9日の朝日新聞です。
このとき、私たちはチェルノブイリの子どもたちの保養の話を聞いていましたが、検討段階にありました。
しかし、旧ソ連が崩壊したことにより、航空運賃の値段がどんどん跳ね上がってしまうことになりました。
(最初は一人1万円って飛行機運賃だったのです。のちに値上がり)

1991年といえば、チェルノブイリ法ができ、IAEAは「小児甲状腺がんの放射性起因を否定」し、その年末に旧ソ連が崩壊するという、チェルノブイリ救援に関して言えば、ジェットコースターのような年です。ここから大変な時代に突入します。最悪のエリツィン時代が始まるなんて、このときはまだ誰も予想していませんでした。
旧ソ連がなくなれば、明日から西側のようにリッチな生活が始まるとみんな思ってたんじゃないでしょうか?

閑話休題。
この朝日の記事を冊子になってるもので調べていた時、ふと、「慢性疲労症候群」の記事をみつけました。肥田先生が、原爆ぶらぶら病を「慢性疲労性症候群」と呼んでいるよ、とおっしゃっていたのでです。

慢性疲労症候群の診断基準(1988年米国防疫センター)
【大基準】
1:六か月以上続いたり再発したりする強い疲労感
2:病歴、検査などでほかの病気にかかっていないことが示されている
【小基準】
A:(自覚症状)
1:微熱(37.5~37.6度)
2:のどの痛み
3:首、わきのリンパ節がはれる
4:筋力低下
5:筋肉痛
6:運動後1日以上続く疲労感
7:頭痛
8:関節痛
9:精神神経症状(光線過敏、健忘、興奮、混迷、思考力、集中力の低下、うつ状態)
10;不眠、仮眠などの睡眠障害
11:以上の症状の急激な出現
B(他覚所見)一か月以上おいて2回以上みられること
1:微熱
2:いんとう炎
3:リンパ節が触れられるか、押さ得ると痛い
*大基準2項目がそろったうえ、小基準Aが6項目以上で、Bga2項目以上またはAとBを問わず8項目以上

こうやってみると、チェルノブイリの子どもたちは、風邪をひきやすく、何度も入退院を繰り返していたというのですから、とても症状が似通っています。

アメリカでの診断基準ですが、日本でも同じような症状が起こってる。

①:これによると、CFSだけに見られる特異的症状というものはない。だから、「精神疾患の一種ではないか」など異論もある。ただ、通勤途中で引き返してしまうほどの疲労や、トイレの水を流すようなことさえ忘れてしまうような集中力の低下。
さらに、精神疾患とは違う免疫異常などを根拠に「昔からあったかもしれないが、新しい概念で認知されるべき病気」との説が、否定論を上回ってる。

②:東京慈恵医大の橋本信哉教授(内科学)は「ウィルスが一因とする説は否定できないが、ほかに免疫異常や精神神経の病気が作用しあって発病すると考えられる。家族内感染もまず見られず、少なくとも大流行の恐れはない」といい、「病状の深刻さではエイズと決定的に違う。誤解は避けたいもの」と強調する。

③:治療法は、今のところ解熱剤など対症療法に頼るしかない、というのが大方の見方だ。神経科の立場からCFS患者を治療してる初台関谷通院長は「三週間以上の長期の休暇を取らせ、趣味や遊びを楽しませる。病院をタライ回しにされて来たような缶じゃが多いので話を聞いてあげるだけでも効果は見られる」と話す。

やはり、これらのわけわからない疲労症候群には3週間以上、休んで遊べばいいんですね!
保養は効果がある理由の一つ!
実感します。

というわけで、実は、原因不明といわれていても、コルチゾールという副腎皮質ホルモンが異常なんじゃないか?というのはアメリカの研究所が突き止めた!
あ、そうですか?
ストレスが悪い悪い、ストレスを避けることができるでしょうか?

さて、私たちが引き受けていたチェルノブイリの子どもたちは、ほぼ全員みなが「甲状腺障害」と言われていました。
小児甲状腺がんを発症はしていないから、発症させないための保養ですが、甲状腺の調子が悪いんだ!
でも、誰もその状態を説明はできなかった。
人類始まって以来ですからね。汚染エリアいったいの子どもたちが放射能をむしゃむしゃ食べて、吸い込んで具合が悪くなった体験は。
そこに、ヒロシマナガサキの医学関係者が入って行って、病気は風土病だとか、ストレスのせいだと言って、放射能は関係ないとしてしまった。
罪深いし恥ずかしいことです。

・チェルノブイリ・エイズ(エイズではないけれどいつ発症してもおかしくない免疫が低下してる状態)
・海を越えて、アメリカと日本では慢性疲労性症候群が、なぜか大量発症してて、旧ソ連崩壊時の1991年12月に特集がちらちらと組まれていた。
・ヒロシマナガサキの自ら被ばくされた医師、肥田先生は、原爆ブラブラ病と慢性疲労症候群、チェルノブイリエイズは同じと。
ああ、都合のいい症状を持ってきて、あわせてる?
これって、医学の素人がやりがちな、ミス?
現象は先に起こってて、いずれ統計が出れば、あとで、わかることではないでしょうか?

このブログは、次に原発事故が日本で、あるいは世界で起こった時、こんなことが起こりますよ、と、お伝えしたい。
その素材を、頭のいい科学者や医学者が、関連性をつまびらかに解明してくださることを期待します。

さて、体調がくずれたとき、「なんで崩れたかな…」と原因を考える習慣は日本にはないですね。
とりあえず、対症療法の薬を飲んで、そのままの行動を続けていませんか?
三週間休養とって、やっほー!と遊べ…と言われても、そんなことできません。
けれど、欧米もロシアもベラルーシも、休暇はちゃんと最低一か月はとります。
自分の健康がいちばん大事です。
健康を守るには、生き方を変えないと、守り切れないと思います。

なぜ、アメリカと日本と、集団で、慢性疲労症候群になってしまうのか?
ほんとうは、おかしいと騒ぐべき。

もちろんストレスもあるでしょう。
でもねぇ、当時のチェルノブイリ原発事故後の輸入食品の基準は370 Bq/kg(10000ピコキュリー、キリがいいので覚えておいてもいいかも。ほうれん草学派が良く使うので)でしたよね。
そんな高汚染のものを食べてたら、具合悪くなりますよね。

ちなみに、今は、起立性調節障害…ってい症状も、増えてるらしいですね。
薬では治りませんので、身体を使って遊ぶ保養がいいのではないでしょうか?

副腎疲労と、甲状腺ホルモンは関係があるらしいので、そこは、調べてみる価値はあると思います。

長くなってしまったので、最後に。
ベラルーシの科学者の方から「新鮮な野菜やビタミンをたくさんとること。ビタミンやミネラル、アミノ酸が細胞をつくるときに必要だから」といわれたことを保養ではとても大切にしていました。
(ヒロシマナガサキの専門家は教えなかったのに、1994年にベラルーシの学者さんに教えていただいたことは、2011年に日本でお伝えさせていただきました)

肥田先生の忠告も。
「被ばくしたとき、体調が悪くなった箇所は、10年後、20年後、重症になるかもしれないから、体調が悪くなったらすぐに病院で検査してもらいなさい。ぐずぐずして重症化させてしまわないように」

私たちにはは質のいい栄養と休暇が必要ですね。大人も子どもも。
「健康のために生きる、生き方を変える、自分が命の主人公」
原爆の攻撃をうけて、100歳まで闘われつづけた肥田先生の、言葉を今も胸に刻んでいます。
被ばくをしたら、生きる目的は、健康を損なわないように生きる。成功とか富とか、俗世とは距離を置くことになっても、健康がいちばん大切だとして生き方を考えてみる。
そうして、後遺症をなるべく小さなものにできると思います。

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